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詩集みやらび

 横浜に帰ったら、古本屋を回ろうと思っていた。住んでいたころもあちこち通ったけれど、それは自分の好きな本を集めるためだった。今回のテーマは、沖縄本。東京で埋もれている沖縄本を発掘してみたい。

 その大先輩が、『沖縄本礼賛』(ボーダーインク)の平山鉄太郎さんである。沖縄の業界人なら知らない人はいない、東京の沖縄本コレクター。9年間で4000冊の沖縄本を集めた猛者に、沖縄本探しのコツを聞かなければ。
 メールを送ってみたら、すぐに丁寧なお返事をくださった。コツコツ拾っていくしかないから足で探すのは大変で、 「100円均一の棚で知念榮喜の詩集の初版が見つかるなんていうのは、ほとんど奇跡です。」とあった。

 詩集の話は『沖縄本礼賛』の66ページに出てくる。
 荻窪の、ささま書店の外には100円均一の棚があり、掘り出し物が多くていつも人だかりができている。平山さんは、この棚で知念榮喜のH氏賞受賞作『詩集 みやらび』を発見された。相場6000円の本が、100円。これだけでもうれしいのに、なんとこの本は市場に出回っている「普及版」ではなく、「限定500部」の初版だったのである。「沖縄本の神様が舞い降りる」エピソードである。

 私は初心者だから、ありふれた本でも少しずつ出会っていければいい。そう思って巡りはじめたら、沖縄本はあちこちにあった。1冊もない店のほうが少ないくらいだ。平山さんが書かれているように、沖縄本はあらゆるジャンルに存在するから、隅から隅まで見る。と、何かしら見つかる。もう買えないのに、持てないのに、見つかってしまう。

 初日は荻窪と西荻窪に行った。ささま書店の100円棚では沖縄本1冊と、自分の趣味の本を何冊か買った。中に入ってもっと買った。

 2日目は阿佐ヶ谷に行った。新しい古本屋もできていて、買いすぎた。このあと高円寺と中野も回るのにと思いつつ、駅に向かう途中でもう1軒立ち寄ってしまう。何度か入っても買ったことはない店だったから、油断していたのだ。

 詩集の棚を見ていたら、あった。『詩集みやらび』が。奥付を見ると、「1969年11月11日発行 限定500部」。値段は、平山さんの買われた22倍。とはいっても。
 出会ってしまった。ビギナーズラックというものだろうか。記念に買った。

 装幀は栃折久美子さん。B5版の詩集は絵本のように眺められて、よい。

Posted by uchinan : 19:04 | Page Top ▲