高文研

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ミナミヤンマクラブ

 ボーダーインクの新刊『ウーウートイレ』(アンクル・カヤ)。

 『琉球怪談』以来、出版業界(の一部)は怪談づいている。那覇店で2度にわたって開催されたイベントは驚くほど盛況だった。同時期に仙台の出版社の荒蝦夷が『みちのく怪談名作選 vol.1』を出したことから「ふるさと怪談」が盛り上がり、震災を経て、5/7には「ふるさと怪談トークライブ」がチャリティー・イベントとして沖縄で開催された。那覇は若狭の古本屋、ちはや書房さんが中心になっている。

 今度の新刊もすでにイベントの話が持ち上がっており、怪談業界がますます盛り上がることはまちがいない。こわい話の苦手な私としては、どう関わっていくか悩ましいところである。

 ところで、『ウーウートイレ』の表紙には「小学校の"読み聞かせ”から生まれた沖縄のこわ~い話」とある。これは『教室で語り聞かせるこわ~い話』(山口理、いかだ社)をヒントにしたそうだ。

 いかだ社は「こわ~い話」を何点か出している。いかだ社の新沼さんが『恐怖の5分間 子どもに話すこわ~い話 低学年』『中学年』『高学年』の営業に来られたときは、思わず、
「こわい話の需要はそんなに細分化しているんですか!?」
ととがめてしまったのを覚えている。学年別になっている意味がわからなかった。表紙もおどろおどろしい。しかし、これはよく売れた。今でも夏になると売れる。不明を恥じるのみである。

 新沼さんは社長で、えらいのに、えらそうにしない。汗をかいて全国の書店をめぐっている。仕事よりトンボが好きである。好きすぎてミナミヤンマクラブという出版社を立ち上げ、トンボの本とDVDをつくっている。トンボのために年に3回くらい沖縄に来て、日焼けして半袖シャツで現れる。いつも泡盛を飲ませてくれる。私の世迷いごとを一蹴してくれる。

 トンボと沖縄を愛する新沼さんは、自社の本が沖縄の出版を盛り立てるのに一役買ったと知ったら、喜んでくれるのではないだろうか。

Posted by uchinan : 22:40 | Page Top ▲

本の雑誌

 「本の雑誌」に名前が出ていましたね、と札幌店の友人からメールが来た。ちょうど休憩中だったので、店に戻って見てみる。見つからない。何月号? と返すと、「新潮社特集の号」と返ってくる。6月号のようだ。ならば、まだ入荷していない。沖縄では、雑誌の入荷は3,4日遅れる。北海道よりもだんぜん遅いんだなと思いつつ、詳細のわからないまま待つことにした。

 2日後、再び売場に行ってみると、入荷していた。
 舘浦あざらしさんの連載「地方出版社紀行」で、フリースタイルが取り上げられている。創業者の吉田さんと舘浦さんが出会った新宿の沖縄料理屋に、私も同席していたのだった。

 書肆アクセスという本屋があった。地方・小出版流通センターのアンテナショップで、神保町にあった。私もこっそり棚を見に行ったり、店長の畠中さんとお話したり、とてもとてもお世話になった。

 書肆アクセスは2007年11月17日をもって閉店した。その直前の11月5日、沖縄の出版社のボーダーインクが、「書肆アクセス おしかけ! ボーダーインクフェア」と銘打って、1日限りのフェアを開催した。編集の新城さんと池宮さんも上京された。さらに、翌6日は「書肆アクセスおしかけフェア 海豹舎がやってくる!1日だけのあざらし舎フェア」と題して、北海道の出版社が登場した。これが、前述の舘浦あざらしさんである。

 当時、私は池袋本店にいて、沖縄県産本フェアをしたり、ボーダーインクの雑誌「Wander」終刊フェアをしたりと、細々と働いていた。仕事があってフェアには行けなかったが、夜、地方小出版の前田さんに誘っていただき、飲み会に参加した。
 たくさんの人がいたなかで、舘浦さんと新城さんのやりとりには圧倒された。たとえば、「病気になったらこれを飲めば治る」と、お互いが北海道と沖縄の暮らしの知恵を披露しあう。豆腐の食べ方やお酒の飲み方や、どんな話題でも自分の地元にひきつけた会話が繰り広げられた。地元で地元の本をつくっている人というのはすごいんだな、とただただ関心した。

 2009年、私が沖縄に来るときに知っていたのはこのとき出会った新城さんと池宮さんだけだった。それがどんなに心強かったか。

 舘浦あざらしさんのつくっている雑誌について、次は書きたい。

Posted by uchinan : 00:59 | Page Top ▲

小学生のエイサー振付ベスト7

 『小学生のエイサー振付ベスト7』(仲宗根達也著、小学館)。
 教育書担当にはおなじみの教育技術MOOKである。新刊案内を見て面白そうだと思い、30冊注文した。

 入荷した本を保健・体育科教育の棚と沖縄書の棚に並べて、そういえばエイサーの本ってあまりなかったのだなと気づいた。『エイサー』(宜保榮治郎著、那覇出版社)、『沖縄エイサー誕生ばなし』(御代英資著、東洋出版)はどちらも概説書である。お問合せは、たいてい「踊り方のわかる本」というご要望だった。あってもよさそうなのに、ない。エイサーは本で覚えるものではなくて、青年会などで上の人から教わるものなのだろうなと思っていた。

 そこに、教育技術MOOKである。「小学生の」と銘打っているが、小学生に限定するのは惜しいような出来栄えである。DVDつき、さらに「楽曲はすべてiTunes Storeで購入可能」という用意周到ぶり。収録されている7曲のうち、個人的には「夏至南風」が好きだ。どんなエイサーなのか、見てみたい。

 これは間違いなくジュンク堂全店で那覇店が一番売っているはずだと思ったら、なんと池袋本店と福岡店のほうがもっと売っていた。沖縄関連本には絶対の自信があったので、ショックを受ける。しかし、これは東京や福岡にたくさんのエイサー・ファンがいるということである。近くに教われる場所もなく、困っていた人たちが飛びついたのだとしたら、それはそれでうれしいことではないか。
 そう納得していたのだが、今日の琉球新報を見たら、宮脇書店名護店の今週の1位はこの本だった。やはり沖縄でも売れる本なのである。急いで巻き返さなければ。

Posted by uchinan : 21:21 | Page Top ▲

沖縄県産本4月ベスト

 5月になった。早くも梅雨入り。

 遅ればせながら、ジュンク堂書店那覇店の4月の沖縄県産本の売上ベストを紹介します。
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1.沖縄苗字のヒミツ(武智方寛、ボーダーインク)
2.トートーメーの民俗学講座(波平エリ子、ボーダーインク)
3.沖縄で楽しむ家庭菜園(喜久山守良、琉球新報社)
4.沖縄のサムレー(比嘉朝進、球陽出版)
5.琉球怪談(小原猛、ボーダーインク )
6.これだけは知っておきたい琉球・沖縄のこと(新城俊昭、沖縄時事出版)
7.薬草と漢方のすすめ(吉川敏男、ニライ社)
8.高等学校琉球・沖縄の歴史と文化(新城俊昭、編集工房東洋企画)
9.沖縄戦(アメリカ陸軍省戦史局、出版舎Mugen)
10.沖縄の自然を楽しむ野草の本(屋比久壮実、アクアコーラル企画)
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 今月も『沖縄苗字のヒミツ』がぶっちぎり1位。4/9のイベントにはたくさんの方が来てくださり、終わるとレジに行列ができた。中には10冊抱えている方もいらして、同じ名字の親戚に配るのかしら? と思ったりする。
 あとは、歴史(6, 8)や自然(3, 7, 10)に関するロングセラーが並んだ。4月らしい、初々しいラインナップである。
 『沖縄のサムレー』は、県外の人には耳慣れない書名だろう。かくいう私も、2月に復刊されたこの本に出会うまでは知らなかった。「サムレー」とは「サムライ」、つまり士族のことである。士族の業績や系譜を取り上げた本で、『沖縄苗字のヒミツ』と同じ興味から買われているのだろう。著者の『士族門中家譜』もずっと売れている。
 なお、3回にわたって取り上げた『沖縄県史』は、4/30に2冊売れた。金額ベースならベストに入る。うれしくて、ついさらに5冊追加してしまった。もはや理性では測りきれない、自分でもよくわからない、書店員の心のゆらぎである。

Posted by uchinan : 20:11 | Page Top ▲